今日は本の紹介と感想を書きます。
エビデンス(科学的根拠)に基づいて本当に健康に良いとされる食材を教えてくれる本です。
世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事 オーディブル無料お試し
炭水化物は健康に悪い。
βカロテンは健康に良い。
果汁100%ジュースは健康に良い
それって本当?
この本でその答えを知ろう!
これを食べよう!そしてこれはひかえよう
まず結論から書くと、この本では地中海食で使われるような食材が良いと書かれています。
本当に健康に良い食品
- 魚
- 野菜と果物(フルーツジュースや野菜のピューレなどの加工品、じゃがいもは除く)
- 茶色い炭水化物(全粒粉、大麦、オート麦、ライ麦、キヌア、玄米、雑穀類、蕎麦粉)
- オリーブオイル
- ナッツ類(ピーナツも可)
健康に悪い食品
- 赤い肉(牛肉や豚肉、羊肉、馬肉。鶏は除く。加工肉は特に悪い)
- 白い炭水化物(白米、小麦粉)
- バターなど飽和脂肪酸
健康に良い食品を摂取する量を増やし健康に悪い食品の摂取量を減らすことで、理想の食事をとることができ、それは体の健康へとつながります。
これらの食品がなぜいいのかもしくは悪いといえるのか、それはエビデンス(科学的根拠)のレベルで判断することができます。
エビデンス(科学的根拠)のレベルを知ろう
著者の津川友介さんはアメリカに住んでいますが、帰国するたびに日本の食事と健康に関する情報の多さに驚くそうです。テレビでもインターネットでも健康情報があふれていますし、書店にも健康に関する本がたくさん置かれています。
ですがそれらの情報は、残念ながらその多くが間違っているか、健康の観点からはそれほど重要ではないことを、さも重要なことのように取り上げているといいます。
あふれるほどある健康情報の中から本当に必要なものを見つけるためには、その情報のエビデンス(科学的根拠)のレベルを知ることが大事だと著者はいいます。
エビデンスは大きく分けて2つ
①ランダム化比較試験
くじびきのような方法で2つのグループが全く同じになるように分け、片方のグループにだけ健康に良いと言われる食品を食べてもらい、もう片方のグループには摂取しないでもらう方法
②観察研究
ある集団における食事に関するデータを集め、特定の食品をたくさん摂取しているグループとあまり摂取していないグループで分けて分析する。何年後かに病気になったり死亡していたりする割合を評価する方法。
エビデンスは大きく分けてこの2つに分けられます。
一般的にランダム化比較試験から得られた研究結果の方が、エビデンスのレベルが高いとされています。
最強のエビデンス
ランダム化比較試験よりも強い最強のエビデンスといわれるものがあり、それはメタアナリシスという研究手法で導かれた研究結果です。
ひとつの研究結果よりも複数の研究結果をまとめたものの方が、より信頼できる結果がでると思いませんか?
このような複数の研究結果を取りまとめた研究手法をメタアナリシスといいます。
このメタアナリシスの中でも、複数のランダム化比較試験をまとめたメタアナリシスが「最高のエビデンス」といえると著者はいいます。
よく目にする健康情報のエビデンスのレベルは?
私たちがよく目にする「体にいいということが最新の研究で明らかになった」といわれるような食品のほとんどは、健康に良いという研究結果が1つ2つはあるかもしれないけれど、本当にいいのかどうかまだ確定的なことは言えない段階の食品なのだそうです。
例に出すと、ダークチョコレート、コーヒー、納豆、ヨーグルト、酢、豆乳、お茶
これらの食品は、今の時点での研究結果では健康に良いとされているけれど、数か月後に最新の研究で健康に悪いことがわかりましたと言われてもおかしくないし、これまでにもそういうことがしばしばおきているそうです。
ダークチョコレートが高血圧の患者さんの血圧を下げる作用があることは複数の研究結果で認められているんだって☆
体に良いとされる食品も、過度にその効果を期待して食べるより、ほかの食材とあわせてバランスよく食べるのがいいのかも。
健康に必要なのは「成分」ではなく「食品」
私たちはタンパク質やビタミンなどの成分に注目して食べるものを選んだり、サプリでその成分を補ったりします。ですが、著者はそれはあまり意味がないことだといいます。
たとえば、果物でみてみると、果物は「食品」ですが、その中にはビタミンや果糖などの「成分」が含まれています。
糖質ダイエットの中には、果物は果糖を多く含み太るので、食べるのを避けるように言われるものもありますが、それは健康的な食事という観点からは間違っているのだそうです。
果物から果糖を抽出して摂取すれば血糖値はすごく上がりますが、果物を丸ごと食べれば血糖値はそれほど上がらないことが知られているからです。
緑黄色野菜や果物をたくさん食べる人に胃がんや肺がんになる人が少なく、それらに多く含まれるβカロテンでがんが予防できるかもしれないと言われて、一時期βカロテン入りの飲料水が流行ったことがあったけれど、その後の研究でβカロテンが肺がんや心筋梗塞のリスクを高くすることがわかったんだって。
緑黄色野菜や果物は病気のリスクを下げるけど、だからといってその中の成分だけをとっても体に良いとはかぎらないのね。
体に良いとされている食品はどう良いの?
ここからはこれらのエビデンスをふまえて著者が選ぶ体にいい食品を詳しく見ていきます。
・魚
魚は死亡率、心筋梗塞や動脈硬化、乳がん、大腸がん、肺がんのリスクを下げる効果がみられます。
1日あたり85~170gの魚(特に油の多い魚)を食べる人は、そうでない人と比べて心筋梗塞により死亡するリスクが36%低かったそうです。
一方、死亡率の研究結果をみると一日の摂取量が60gより多く食べても死亡率はかわらないと書かれています。
少量でもいいので毎週魚を摂取すると、乳がんになるリスクも減るそうです。
・野菜や果物
野菜や果物は食べる量が増えるほど死亡率が下がります。ですが385~400g以上摂取しても死亡率は変わらなくなるので、1日に400g程度の野菜や果物を食べるのが健康に良いそうです。
また、心筋梗塞や脳卒中などの疾患によって死亡する確率は、野菜や果物の摂取量が増えると下がり、糖尿病の発症率も果物をほどほどに食べている人の方が低いと報告されているそうです。
ひとつ、ここでの注意点はジュースやピューレなどの加工品ではだめだということ。
フルーツジュースやピューレなどの加工品は、加工の過程で健康上のメリットが失われていると考えられているからだそうです。
この本で言われている野菜や果物はスーパーなどで売られている本物の食材のことを言います。
お鍋は野菜をたくさん食べるのにイイね!
・茶色い炭水化物
茶色い炭水化物とは、全粒粉、大麦、オート麦、ライ麦、キヌア、玄米、雑穀類、蕎麦粉のことを言います。これらの精製されていない炭水化物には多くの食物繊維や栄養成分があり、炭水化物なのに肥満や動脈硬化のリスクを下げると言われているそうです。
あるメタアナリシスによると1日70gの茶色い炭水化物を摂取したグループは、ほとんど食べないグループと比べて死亡率が22%低く、別のメタアナリシスによると茶色い炭水化物の摂取量が多いグループは摂取量が少ないグループと比べて、心筋梗塞や脳卒中といった病気のリスクが21%低かったそうです。糖尿病のリスクが下がることも複数の研究結果で明らかになっています。
・オリーブオイルとナッツ
約7500人の糖尿病や喫煙歴があるが心筋梗塞などの病気になったことがない人を対象に、地中海食の検証を目的とした比較試験の研究があります。
対象者は3つのグループに分かれ、それぞれ以下のような食事をとりました。
①地中海食+オリーブオイル(1ℓ/週)
②地中海食+ナッツ(30g/日)
③低脂肪食
その結果、①と②のグループは脳卒中、心筋梗塞、それらによって死亡する確率が29%低く、脳卒中のリスクにいたっては①のグループで33%、②のグループで46%も③のグループより低くなりました。
さらに、地中海食は乳がんになる確率を57%減少させることもわかっています。
このことから、オリーブオイルとナッツが健康に良いことが明らかになりました。
この研究結果から地中海食が健康にいいことがわかります。
ですが、地中海食で食べられる魚、野菜、果物、は日本人でも普段から食べる食品です。
白い炭水化物を減らして玄米や全粒粉の割合が多いパン、十割そば、そしてオリーブオイルやナッツを足せば、普段の食事が健康的な食事になると著者はいいます。
体に悪い根拠は?
最後に健康に悪いとされる食品を詳しく見ていきましょう。
・赤い肉・加工品
赤い肉とは、牛肉、豚肉、羊肉、馬肉のことをいいます。
加工肉は、ハム、ソーセージ、ベーコンなどのことです。
これらは複数の研究結果から、大腸がんのリスクを上げ、脳卒中や死亡率を上昇させることが明らかになっています。日本人を対象としたある研究では女性において摂取量が一番多いグループは少ないグループと比べて直腸がんのリスクが48%高い結果がでたそうです。
・白い炭水化物(白米、小麦粉を主体とするもの)
茶色い炭水化物と逆で、白い炭水化物は血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気のリスクを高めます。
ですが私たち日本人の主食は白米です。日本人には当てはまらないのではという疑問に対し、この本では日本人を対象にした研究の結果も書かれていますが、その結果日本人であっても白米を食べると糖尿病になるリスクが上がるという結果がでたそうです。
著者がアジア人や西洋人を対象にした複数の研究結果を照らし合わせた結果、白米と糖尿病のリスクには一方が増加すればもう一方も増加する関係にあるので、できるだけ摂取量を減らすのが好ましいとされています。
・バターなど飽和脂肪酸
これらは健康に悪いということが複数の信頼できる研究で報告されている食品です。
本の中では詳しい説明はありませんでしたが、周知の事実だからでしょうか。
バターに関しては新しいエビデンスが出てくるかもしれませんが、現時点ではできるだけ摂取しないほうが良いと書かれています。
著者は、これらは健康に悪いとされるエビデンスがありますが、だからといって食べてはいけないとは言っているわけではありません。
健康のために、自分が好きなものを食べる喜びが消えてしまうのは悲しい。
それなら量や食べる頻度を調整して、健康的に食べるように心がけるのはどうでしょう。
感想
これまでテレビやインターネットで流れている健康情報をほぼ鵜吞みにしていましたが、その情報にはエビデンスが低いものが多く含まれているのだとわかり、情報は受け身で得るものじゃなく自分で調べないと正確な情報は見つからないということに気づかされました。この本にはインターネットで正しい健康情報を入手する検索の仕方も載っています。
成分=食品のようにとらえていましたが、ちがうのですね。糖分を気にして果物をあまりとらないでいましたが、たしかに果物は糖分も多いけれど食物繊維もビタミンも含まれているのだから、これからはもっと季節の果物を楽しむことにします。一時期低糖質ダイエットをしていてお肉を積極的に食べていたので、赤い肉がダメというのはショックでしたが、なにごともほどほどにということだと思います。比較的低価格で購入できる鶏肉を食べていいのは朗報でした。
この他にもたくさんのコラムが載っていて、オーガニック食材やグルテンフリーについてや、病気の人、子どもや妊婦さん向けの食事についても書かれています。
たくさんの健康情報のどれを信じればいいのかわからないとお困りの方は、一度読んでみてはいかがでしょうか。
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